インタビュー Vol.89
 

和製ミュージカル作品を海外に輸出して社会貢献をしていきたい!
目指すはブロードウェイ!!
夢もやることもダイナミックなspi

spi

 

 

 

5歳頃から、横須賀米海軍のシアターグループに所属されていたそうですが
幼少の頃から演劇のある環境で育たれたのですね

父親がブロードウィを目指していたミュージカル俳優だったのですが、その頃、横須賀米海軍のシアターグループの座長もやっていて、父の主演ミュージカルを上演する機会が多く、舞台のお稽古が仕事のあとだから夜6時から9時とかで、僕はまだ赤ちゃんで、母も英語の先生として働いていたので、幼稚園もその時間は空いていないし、僕を預けるところがないので、稽古場に一緒に連れていかれていたのですね。そんな環境で育ち、そのうち、僕も子役で出演のオファーがきて、自然の流れから、舞台に立つようになりましたね。だから僕自身は何で舞台に立っているのか記憶にないほど幼い頃から芝居をやっていたのですね。
お祖父ちゃんもレコードを出したりしていて、芸能の道に生きているひとでした。
 

 

 

舞台で演技されることがお好きだったのでしょうか

性格的に好きなことしか受け入れられないので、仕事のためにやりたくないことをやるってのは本当に辛い、できるだけ自分のやりたいことをやるということが僕の信念みたいなものです。
それがエンタメであり、歌やミュージカルやダンスに繋がって、いまに至っているという感じでしょうか。とにかくこれからもできるだけ好きなことを多く選択して出来る様にしていきたいですね。
 

 

ミュージカルは演じてみて

作品を作るのは凄く大変です。情景を作る作業や作曲、オーケストラなどセンスが問われるものなので、出来上がるまでの工程に大勢のスタッフさんが関わり、それをまとめていくのが一番大変。でも俳優としては他のエンターテインメントに比べたら簡単かもしれません。
何故なら、その出来上がった歌やダンス、演技、音楽を俳優が自信を持って背負えばいい。有難いことに、音楽を背負う事、音楽と共にある事を難しいと感じた事はそれほどありません。覚えるまではかなり苦しいですが、覚えてしまえば気持ちよく乗っかれる場合が多いです。もちろんスタッフの皆様に感謝は忘れずに。俳優は作品を届けているパーツの一部だと思っています。
 

ZIPANG OPERAも今年結成されて益々多忙ですね

佐藤くんも侑くん、心之介くんもみんな先々までスケジュールが埋まっているので、なかなか揃っての時間を作ることが難しいですが、隙間をぬってやっていますね。
 

  
ZIPANG OPERA デビュー作品 1st Album『ZERO』
Billboard JAPAN総合アルバム・チャート第9位!

 

大きなターニングポイントは

キャリア的にはミュージカル「刀剣乱舞」ですが、その前にも大きなターニングポイントはあって、その派生で「刀剣乱舞」に出会ったということですね。
28歳くらいの頃ですが、ブロードウェイミュージカルが目標だったので挑戦しようというのがきっかけですね。当時縁のあった方々に協力をいただいて渡米しました。今でも感謝しています。
アメリカはユニオン(俳優労働組合)に加入しなければいけないので、手続きに時間も手間もかかり大変です。加入していなくても受けられるオーディションがあったので、取り敢えずコネを作りがてら、と思いましたね。
それで受けたオーディションのアジア人枠が決まってしまっていた。その時は、受かる受からないより「あ!俺ってアジア人なんかい!」思った時に日本に帰ろうと決めたんですね。
そして、日本に帰って、演劇やミュージカルで社会貢献できるようなことをしたいと思うようになりました。それが何なのか、と深く考えた時に、MADE IN JAPAN のミュージカル作品を作って海外に輸出することが僕の社会貢献でした。日本で作られていたミュージカル作品に出演させていただいている中で縁が繋がっていきました。
 

ミュージカル『刀剣乱舞』2020年 蜻蛉切 役

 

 

もし今後ブロードウェイの舞台に立つとしたら、どんな作品を目指しますか?

「王様と私」ですかね。でも、ブロードウェイで劇場を借りて、自分でやれればいいだけの話ですから! 笑笑
 

spiさんともご縁が深い、演出家の藤田俊太郎さんも2019年にイギリスでミュージカル「Violet」Charing Cross Theatreで成功されていますね

そうですね、本当によくしてくれていて、僕の芝居を信じてくれていると思っています。日本の素晴らしい演出家です。
藤田さんは、心理的な安心感というのを絶対に俳優に与えてくれます。何をやっても許される空間というのを作ってくれる。俳優を制限しないので、そのポテンシャルをMAXまで出せる状態を全員に作ってくれるという演出家です。
 

ちなみに藤田俊太郎さん演出作品でspiさんの出演作は「Take Me Out」「ジャージー・ボーイズ」ですね。

 

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』2022年 ニック・マッシ役

 

spiさんも演出をやってみたいと思いませんか

今は全く思わないです。俳優の中身をどうやって構築したらいいかなどの演技指導はもしかしたらできるかもしれませんが、舞台セットのアイディアとか照明とか、考えるだけで絶対出来ないなという気持ちです。 笑笑
 

 

青山学院大学法学部に入られたのは理由があるのですか

両親からは、学業はちゃんと学ぶようにと言われていて、大学を卒業して一般的な知識も身につけて芸能の世界で頑張りなさいと言われていたので、僕自身は、中学の頃から芸能の道に進むことを決めていました。高校、大学は入れれば、どこでも良かったのかも。それがたまたま、受かった大学が青学だったっていう。行かせて貰った両親に今でも深く感謝しています。
でも本当に行って良かったですね。大学の中での人間関係の失敗も沢山経験したので、社会に出る前に様々な人間関係を経験できたのが良かったです。
大学時代は僕の中では演劇はある程度確立されていたので、舞台で使うだろうなーという気持ちで、学業そっちのけでダンスサークルに所属していました。
 

俳優さん仲間で親しいかたは

ZIPANG OPERAの佐藤くん、侑くんとかですね。僕は主演が30代に入った頃からですが、彼らは20代前半ですでに大活躍で、凄いですよ。しかも僕より若いですからね。凄くインスピレーションを受けています。
 

今まさにミュージカル「オリバー」上演中ですが、俳優さん仲間で凄いと思うかたは

濱田めぐみさんの歌が好きです。市村正親さんは本当にお客様が大好きで、いつも笑わせてくださるし、一緒にお芝居ができて本当に光栄です。
 

ミュージカル『オリバー』2021年 ビル・サイクス役

 

今後演じてみたい作品や配役は

Les Misérablesのジャン・バルジャンです。
アメリカの「ディア・エバァン・ハンセン」の主演もやってみたいです。無理でしょうけど。笑
でも基本的には日本で作ったミュージカルを海外に持って行って、その主演はやりたいです。それが今後の僕の目標ですね。
道筋ができれば、夢ではないと思います。例えば、新田真剣佑さんも「ワンピース」の実写版でNetflixでゾロをやるんですが、そういう道筋を作ってくれれば、他の俳優も海外に行けるチャンスが増えると思います。
 

 

CDもリリースされていてオリジナルCD『悪フザけ、LOVEだらけ。』のタイトルがユニークですね。

作曲家と話していて「コンペ落ちした楽曲が5曲あるんだけど、いつか跳ねるかもしれないけど、眠っちゃっているので」って事だったので、その5曲は僕にちょうーだいって言いました(笑)5曲入ったオリジナルミニアルバムです。
みんなでふざけよう!と言うテーマでつけたタイトルが『悪フザけ、LOVEだらけ。』だったのです。 
 

CD『悪フザけ、LOVEだらけ。』2019年6月3日リリース

 
 

いま上演中の「オリバー」のカーテンコールでもそうですが、連日2000人からのオーディエンスの喝采を浴びている舞台から客席を眺める景色はどんな感じですか

いつも感無量で胸がいっぱいです。楽しんでもらえているといいなあと思いながらカーテンコールに出ています。
 

 

Music is Beautifulについて最後にひとことお願いします

水夏希さんと久しぶりにご一緒できるのも嬉しいですし、今日はローズくんとも取材で一緒にいますが、今回、初めてお目にかかるキャストさんもいらっしゃいますし、いまからとてもワクワクです。ぜひ、大勢の皆さんと一緒に楽しみたいと思います。
 

spiさん、本当に素敵なかたでした。最初にお目にかかったのはご出演中の「オリバー」の夜公演がある開演前の貴重なお時間を割いてくださって、雰囲気はビル・サイクスのままでしたね。自然体でワイルドで、しかもsexy!何ともいえない存在感が俳優として持って生まれた才能なのだと思います。お話していると知性が溢れ出るように感性の鋭さが際立って、その魅力に沼落ちです。私がspiさんの優しさに感動したのは、取材日の調整が難航していて、spiさんに期日変更をお願いしたら、いま大阪にいるけど行きましょうか?って言ってくださったことです。多忙なのに、その一言でちょっとウルっときました。クールに見えそうで本当はシャイなのに細やかな気配りをされるチャーミングなspiさんです。実力派ミュージカル俳優として誰もが知るところ、近い将来、ジャン・バルジャンを演じる日を期待しているファンは多いと思います。変幻自在に役を演じるspiさんを益々応援させていただきたいと思いました。


インタビュアー:佐藤美枝子
カメラマン:Ami Hirabayashi
取材協力:ZEAL STUDIOS
許可なく転載・引用することを堅くお断りします。

spi

1987年10月30日(33歳)186cm  William Worthington Spearman Ⅳ
(ウィリアム ウォージントン スピアマン フォース)
横須賀市出身 青山学院法学部卒。
米国人の父と日本人の母をもつ。特技は、英語、歌、ダンス、テニス、スキー、ラグビー、バスケットボール。
5歳頃から、横須賀米海軍のシアターグループに所属し、演技、歌の研鑽をスタート。ミュージカル「ミュージックマン(英語上演)」ウィンスロップ役が初舞台である。また東京交響楽団のオペラ「夕鶴」の子役も経験している。10代後半からはユニットを組んで東京都内のライブハウスやイベントスペースなどに出演しはじめ、ヴォーカル、ダンサーとしておおいに観客を沸かせた。また水夏希(元宝塚歌劇団雪組トップスター)とユニット「Guys☆From The Earth」を結成し、フジテレビジョンタイアップドラマ『スミレ刑事の花咲く事件簿』で主題歌を歌うなどの実績を残している。その後、更に表現の幅を広げるためにニューヨークに渡り、舞台技術、ヒップホップ、クラシックバレエを学んだ。
現在、ミュージカル、ストレートプレイなどの舞台、また歌手としての単独ライブと精力的に活動中である。2021年佐藤流司、福澤侑、心之介らと音楽パフォーマンスユニットZIPANG OPERAを結成し活動中。
2021年10月〜12月ミュージカル「オリバー」にビル・サイクス役で出演中。


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