インタビュー Vol.25
綺羅星のごとくミュージカル界に現れた歌姫
新妻聖子


●ご出身はどちらですか?
生まれは愛知県中島郡祖父江町というところです。合併して、今は稲沢市祖父江町となりました。父が北海道の出身、母が関西の出身で、両親の勤め先が稲沢市だったので、そこで私が生まれました。私が5年生のときに父の海外転勤に伴い、家族でタイのバンコクへ移り住みまして、17歳まで暮らしていました。

 
●結構長い間、住んでいらしたのですね。
7年弱住んでいました。

 
●11歳から17歳までバンコクで過ごされて、バンコクではお友達も沢山できたでしょうし、帰国は寂しくありませんでしたか?
逆にタイへ行くとき、友達と離れるのが寂しかったですね。また慣れない土地で不安でしたから。96年にタイ国際航空が、俳優のいしだ壱成さんを起用して「タイは若いうちに行け」というキャンペーンを行って凄いメジャーになったんですが、その前までは日本人ってタイのバンコクってイメージがなかったと思うんですよね。私もタイと言われてもどこだかわからなかった。どこか僻地に連れていかれるのだと思って。凄いショックでした。でもタイに着いたら一日目から凄い楽しくてエンジョイしてましたけど(笑)。

 
●順応が早いですね!
いや、タイが良いところだったんですよ!タイって東南アジア諸国の中では唯一植民地になっていない国で、国民性が明るいんですよ。とにかく明るくて、ゴハンは美味しいし。家族みんなで行っているので安心できるし、もう第二の故郷と思えるまでになりました。

 
●たまにタイに帰っていますか?
そうですね、たまに行っています。これからもっと行きたいですね。

 
●タイ公演もどうですか?
やりたいです!いまタイにブームが来ているようですし、音楽も韓国の「K-POP」に続いて、「T-POP」が人気になるって。韓国の「カンナムスタイル」が世界的に凄く流行ったじゃないですか。次はT-POPじゃないかって言われていますからね。経済もそうですけど、エンタメもものすごい速さで発展を遂げていて、もの凄い勢いで日本に追いついてきてるみたいです。

 
●では、どこよりも早くT-POPアーティストと共演とかしたいですね。
そうですね!T-POPアーティストとコラボとかいいですよね。これから絶対くると思います!



 
●リサーチが完璧!話題がかわりますが、小さい頃はどんなお子さんだったのでしょうか?
お転婆どころではなくて、ガキ大将でした(笑)。本人は牛耳ってるつもりはないのですけど。女の子だけですが子分みたいのが沢山いて、まわりから「聖子軍団」って呼ばれていたらしいです(笑)。その子分たちが先生に呼び出されて、「あなたたちはいつも聖子ちゃんのあとばかりついて行って恥ずかしくないの!?」って怒られたとか。

 
●リーダーシップをとるのが自然と身についていらっしゃるということですかね。
なんでしょうね、学級委員や生徒会の副会長はやっていましたが…。たしかに、完全に6年生での生徒会長を見据えた5年生での副会長ではありました。「いよいよ来年は政権が私の手に!来年は私の年だ!」と思っていた矢先にタイへ移住(笑)。

 
●お子様にしては野望が半端ないですね!そして今は歌の世界でその野望を着々と進んでいらっしゃるわけですね?
牛耳りたくて歌っているわけではないのですが(笑)。



 
●ところで、大きくなったら何になりたいという夢はございましたか?
そうですね、やっぱり子供の頃から歌が好きで、CDを買ってもらっては歌詞カードを見て、ソファーの上に立って歌ってましたね。WINKの曲を一人で真似していました。あと工藤静香さんとか。そういうJ-POPを聴くと同時に、父のCDやLDを観たり聴いたりして、知らず知らずに多ジャンルの曲を聴いて育った気がします。オペラのアリア集のCDを母がかけていたり、「サウンド・オブ・ミュージック」の映画音楽が何となく好きで何度も繰り返し聴いていたり。でも、それがミュージカルだと自覚したのはデビューしてから。「いま思えばあれはミュージカルだったんだな」と。

 
●小さい時にお母様に連れられてミュージカルを観ていたということではないのですね。
自宅のまわりは田んぼしかなかったので…。名古屋の劇場まで出ないとやっていなかったんですね。ですから初舞台を踏むまではミュージカルという存在を知らなかったんです。

 
●初舞台っていつですか?
2003年の「レ・ミゼラブル」です。大学出てからですので、22歳の夏。

 
●すごいですよね!小さい時から積み上げてきたのではなくて、そういう環境にいらっしゃったというのはとてもラッキーでしたよね。
自宅にあった「サウンド・オブ・ミュージック」のLDとかを繰り返し観ていたことが活きたのでしょうか…。

 
●最初に生でご覧になったミュージカルというのは?
「レ・ミゼラブル」での初舞台が決まって、東宝さんから「一度ミュージカルを観ておいてください」と言われ、帝国劇場で観させていただいた中川晃教さん主演の「モーツァルト」が初でした。観劇という意味では、「王様のブランチ」のリポーター時代に寺脇康文さんの舞台は観に行かせて頂きましたが、いわゆるミュージカルとしては「モーツァルト」が初めてでした。



 
●中川晃教さんの舞台をご覧になって如何でしたか?
もし、主演がアッキー(中川晃教さんの愛称)でなかったら、おそらく私はここまでどっぷりとミュージカルにハマっていなかったと思います。アッキーが素晴らしかったので!あの方、いい意味で異質じゃないですか。彼もミュージカルの本流を昔から目指してきたのではないだけに、アーティストとしての才能が、はち切れんばかりにそこにあったので、「ミュージカルって知らなかったけどこんなに凄い歌い手がいるんだ。素晴らしい環境に違いない!」と思って俄然やる気がでたというのを憶えています。という話は、本人にもしましたけど(笑)。

 
●アッキーとしても嬉しいでしょうね。
うーん、たぶん(笑)。

 
●自分がきっかけで新妻さんがミュージカルでこんなに大ブレイクされているという。今ではある意味ライバルでもあるわけですよね。
そう思ってもらえたら嬉しいですが…。

 
●新妻さんは挫折がない感じがしますけど…。
そう見えるみたいですね…。でも私が自分の人生を振り返るとしたら、挫折だらけなんですよ。



 
●4月にジャズのビッグバンドで歌っていただきますが、新妻さんの歌声をお聴きになられたお客様がきっとミュージカルも観てみたいと思ってくださると思うのですよね。当協会の専務理事が「ミュージカル」誌の編集長をやっているのですけど、新妻さんのことを大絶賛!4月のビッグバンド・フェスティバルの出演が決まったのも一番喜んでいるのではないかと思います。
えー!そうなんですか!

 
●ミュージカル女優、歌手、作詞や訳詩もなさっていらっしゃいますが、新妻さんにとって一番、比重を占めていらっしゃるのはどの部分でしょうか。
歌う事が大好きだし、演じる事も好きですし。歌手・女優として、生きていきたいと思います。そして、座り心地が良い椅子は新しく自分で作るしかないと思うので、日々、葛藤しながらではありますが頑張ります!

 
●3歳年上のシンガーソングライターのお姉さま、新妻さんのこと大好きってステージでおっしゃっていましたが。
私が勝手に言ってるだけですよ!「あの人は私のこと大好きなんです」って。本人は何も言ってない(笑)。

 
●すばらしいですね!そんなこともステージ言えるなんて!お顔とか似ていらっしゃるのですか?
昔は双子みたいに似てるって、よく言われていました。今は少し違うみたい。

 
●逆にどこにも(劇団に)所属されていないから、色がついてないという部分は凄く良いと思いますよね。ビックリするのは、ボイトレとかの先生がついていらっしゃらないとか…。それも凄いですよね。
みんな先生がついてるって言うのですけど、私にはいないんですね。いろいろ試した結果、1人で黙々と練習する方が向いている、というところに辿り着きました!

 
●もう完璧ですね…。それに、食事ももの凄くストイックといいましょうか。栄養のバランスなど、かなり計算されつくしたメニューになっていらしたような。毎日ですか?サラダオイルをお口に含んだまま逆立ちするって。
あ、は、はー!逆立ちはしないです(笑)。

 
●今朝もだいたいマニュアルどおりに?
はい、でも割と今はオフシーズンなので…。少しゆったりと過ごしています。

 
●最近はコントもおやりになったり。意外でした。
ああ(笑)。ありがとうございます。舞台では二枚目の役が多いですもんね。コントは、舞台とはまた違った緊張感で楽しかったです。

 
●美しく、頭脳明晰の新妻さんには、男性は近寄りがたいのではないかと思いますが。
初めて会った人はプロフィール写真のイメージと違うのか、最初3分ぐらい固まってますね。実は、こんなに凄い喋る人なんだって(笑)。どうしよ、写真変えようかな。もっとラフなやつに(笑)。

 
●今後演じてみたい舞台や役はございますか?
サッチャー!サッチャー・ザ・ミュージカル!もしくは、アウンサンスーチー!アウンサンスーチー・ザ・ミュージカル!

 
●それはいいですね!(笑) 好きな俳優さん、または女優さんはいらっしゃいますか?
セリーヌ・ディオン!部屋に飾ってありますから。神棚みたいなところに(笑)。



 
●もし芸能界に入っていなかったらどのような道を選ばれていたのでしょうか?
政治家だと思います。特に好きという事ではないのですが、あり余る正義感と熱をどこに向ければ良いのかと…。

 
●エネルギーが漲ってますね。一年一年があっという間と思いますが、1年後ってどんな風になってると思います?
売れてるハズです!

 
●ズバリ5年後は?
さらに売れまくってます!東京オリンピックもあるので、そこでも歌ってもいいかなー、というぐらいになってるはず!(笑)

 
●もし紅白歌合戦のオファーがきたらどうしますか?
もちろんでますよ!(笑) まあ、5年後の東京オリンピックを狙えないぐらいだったらやめます!それぐらいの覚悟でやってますから。もし、なれないなとなったら嫁に行きます。スッパリやめて。

 
●潔いので男の子がまかれちゃいますよね…。 好きなタイプの男性は?
好きなタイプか…。うーん、逆に「こういうのが合うんじゃないかな」って連れてきてほしいです!

 
●恋愛されたことは?
あ、は、はー!ヒドイ!最近言われた中で一番ヒドイ!(片岡)愛之助さん以来ですよ!「聖子ちゃんは人と付き合ったことあるの?」って(笑)。

 
●好きなタイプの方に会ったことはありますか?若くてかっこいいイケメンとか沢山の俳優さんと共演されていますけど…。
かっこいい方はいらっしゃると思いますよ…。それ以上は突っ込まないでください!(笑)

 
●では、好きな俳優さんは?
このお仕事を始める前の中学、高校時にかっこいいなと思ったのは、福山雅治さん。お仕事を始めてからは、本当にかっこいいなと思える人は、もはやタイプとかじゃなくて、この芝居メチャクチャうまいな、と思うときだったりしますね。例えば吉田鋼太郎さん。セクシーですよね。

 
●新妻さんが人生の最後に歌いたい歌はなんでしょう?
一番愛してるというか、お客さまが元気が出ると言ってくれる曲で、「ラ・マンチャの男」ですね。私の場合、「自分が歌いたい」というより、「誰かに聞かせたい」ってなっちゃう。人を喜ばせたいっていう思考になりますね。

 
●その強運を掴み取ったわけですね
12年経って一回りしたから、そろそろセカンドウェーブがきてほしいな、と思ってます!(笑)

 
●新妻さんありがとうございました。生命力溢れる新妻さんから底知れぬパワーをもらいました!
清楚な美しさと品格は、海外で学んだ豊かな知識と、持って生まれた透明感溢れる伸びやかな声と天性の才能で、完璧なまでにオーディエンスをとりこにし、今後どんな高いハードルをも飛び越えて、間違いなく大輪の花を咲かせることと思います。
ビッグバンド・フェスティバルでは和製グレン・ミラー楽団の異名をとる、今年結成70周年という快挙を成し遂げた、日本ビッグバンドのレジェンド、森 寿男とブルーコーツをバックにその美しい歌声で新妻旋風を巻き起こすこと間違いありません!!ぜひお聴き逃しなく!!

 
インタビュアー:佐藤美枝子
カメラマン:Koji Ota
 
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